医療行為を行うに際して、医師は患者に対して、病状や治療法等についての情報を与える「説明義務」が課せられています。
医療過誤訴訟では、治療行為の違法性(過失が存在するか否か)と共に、患者に対する説明義務違反が必ずといっていいほど争点となります。
医師が患者に対して説明すべき事項は、具体的な状況で変わりうるため、一般的な基準を示すのは困難ですが、手術に際して説明義務違反の有無が問題となった事例があります。
判例では、①疾患の診断(病名と病状)、②実施予定の手術の内容、③手術に付随する危険性、④他に選択可能な治療方法があれば、その内容と利害得失、予後などを患者に対し説明する義務があるとしています(最判平成13年11月27日)。
また、どの程度詳しく説明すべきかが問題となりますが、疾患の緊急性、重篤性、患者の理解力などにより左右されるものであるため、この場合も一般的な基準を示すのは困難です。
もちろん、医学書に記載されていることを事細かに説明するなどいうことは不可能です。
ここで、医師に説明義務が課せられている理由の一つは、患者の自己決定権を守ることにあるので、説明の程度としては、「患者が自己決定権を行使する上で必要となる情報を提供しているかどうか」で判断すべきでしょう。
特に、医師が説明を行った後、患者に質問の機会を与えたか否かが大切であると考えられます。患者が質問をすることで、情報がより具体的になり、患者からの同意が得られやすくなります。
さらに、医師の説明義務違反が肯定されたとしても、その説明義務違反が患者に生じた損害との関係で因果関係が認められなければ、原則として医師には、患者の損害について賠償すべき義務はありません。
因果関係が肯定されるためには、仮に医師が説明義務を尽くしていれば、患者の当該損害は生じなかったと評価できることが必要となります。
もっとも、患者が損害を100%生じなかったことを立証することは困難であるので、判例上では、患者の損害が生じなかった高度の蓋然性(確率的に「十中八九」)を立証すればよいとされています。
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